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第5号 報告書

◆報告書要約



第5号報告書は以下5項目を記載している。

項目1[活動結果]
項目2[要請の妥当性]
項目3[活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性]
項目4[ボランティア経験について]
項目5[帰国後のボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画] 

項目1については活動結果表の内容に基づき、PC環境構築、教材開発、研修実施、その他の活動の項目について2年間の活動結果について概要を記載している。詳細については別資料の活動結果表に記載している。
項目2については 自身の要請に対する妥当性は無かったと考えている。なぜ妥当性が無かったかについて配属先の観点と自身が行った研修の受講者の観点から検討した内容について記載している。但し、要請内容に記載された活動内容については定量的に不足が無い程度に実施している。
項目3については配属先の今後のために行った内容、支援のあり方に対する期待、要望について記載している。
項目4ではボランティア経験について、自身の主観的な感想を中心に記載している。
項目5においては帰国後ボランティア経験の社会還元についての検討内容を記載している。帰国後具体的に情報発信、社会還元を行う計画はまだ無いが、本報告書を提出する段階で分かりうる範囲で検討した内容について記載している。

 第4号報告書からの変化としては、新たに地方事務所勤務者向け集中研修と9月から11月末までの通常研修を実施した。その点については項目1及び活動結果表に記載している。 第5号執筆に当たっての書簡として、実際に行った2年間の活動内容については指定文字数の範囲内で語れるものでは到底ない。記し足りないというのが本音である。それでも、できうる限りの工夫をして記したつもりではある。活動結果表と合わせ、自身の2年間について少しでも感じ取っていただけたら嬉しい次第である。

◆項目1[活動結果]


■PC教室環境構築
①PC17台、サーバー1台を接続できるネットワークを構築
②Linuxサーバ1台構築

■教材開発
①全9教科、総項数763ページ分の教材開発
②必要な各種ファイル、副教材作成
③教材電子データ提供用webサイト構築

■研修実施

以下の期間、受入受講者数、授業実施時間数で4回の研修を実施した。
①2015年5月~7月24名176時間
②2015年10月~12月32名152時間
③2016年2月~5月32名180時間
④2016年9月~11月32名180時間

また、以下の期間で3週間の地方在住者向け短期研修を実施した。
2017年7月16名90時間

2年間の活動期間中、総勢136名の受講者に、総時間数778時間の研修を実施した。

■その他の活動

分科会を立ち上げ、同職種隊員と連携した活動を行った。特筆すべきは以下3点である。
①2015年10月に50周年記念イベントにてLANケーブルの製作体験を企画実施。
②2016年2月にラオス国立大学工学部でのアイディアコンテストでアドバイザーを担当。
③2016年8月に同大学でのIoTに関するシンポジウムにてアシスタントを担当。


◆項目2[要請の妥当性]


配属先の観点から考えると、活動開始当初はJICA事務所での説明会、顔合わせなどに担当者が遅れるか、失念して来ないといった対応があり、自身への期待、必要性は低く自身が派遣された妥当性はなかった。自身の担当研修についても、他の語学系研修やその他会議への対応に比べると需要や緊急性は低く、あればあったでいいという状態だった。しかし、活動の進行に伴い、資材の提供など研修開講に向けた準備や受講生の募集、修了式の開催など手厚い対応をいただけるようになり、徐々にその有効性は認識いただけたのではないか。
研修受講生の観点から考えても、要求するラオス語レベルが高く、受講者の要求に添った語学力が足りず妥当を示せなかった。さらに自身の持つ技術に基づいた研修設定科目、特にネットワークやプログラミング技術に関するものが受講者にとって過度に目新しく、抵抗や反発を受けた。その様な目新しい科目よりも難易度の低いワープロや表計算に関する技術に需要があり自身の技術と要求される技術との間には大きな乖離があった。その点でも自身の派遣に妥当性はない。必ずしも自分である必要はなく、ラオス人講師が最適であったかもしれない。


◆項目3[活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性]


活用の見込みがある成果としては、構築した教室環境と作成教材が挙げられる。自身の任期満了後は後任派遣の見込みは無く、他援助団体から外国人講師派遣等の話もないことから、配属先の裁量に基づいた研修の実現、継続を期待したい。
 配属先スタッフ、又はラオス人講師による研修実施を行う際の一助となるよう項目1■教室環境構築、及び■教材開発の箇所に示している全ての機材、設備を返却し、教材を譲渡した。
機材、設備等は構成変更ができる状態で全て配属先に返却し、作成した教材については修正を加えられる形式で全てのデータを譲渡した。今後配属先自らが最適に改変し、自らの裁量で利活用していただけるよう期待したい。
自分なりの工夫のつもりではあったが、設備構成や教材の難易度に難色を示されることが多かった。的確に要望を汲み取って最適なものを提供するべきだったと反省している。

◆項目4[ボランティア経験について]


一般的なラオス派遣隊員の感想として、"楽しかった"、"帰国は嫌だ"、"ずっとラオスにいたい"といった内容が正解で、そう記すべきだが、私の場合は違う。
講師としての活動を振り返ると、言語、文化的価値観が全く違う状況で1日4時間の授業を行い人に向き合うことは、想像以上の疲労感があり、肉体的、精神的に厳しかった。2年間の任期という定めがあり、確実に終りを意識できたから厳しい状況でも全力で一生懸命に取り組めたことだ。再度やれと言われても、おそらくできないだろう。楽しいこともあったが、それほどの活躍はできなかった。

しかし、やってよかったと確実に言える。

ほぼ何も無い状態からネットワークやサーバを構築した経験、土日祝日を教材作成のための検証に費やし、作成した教材で研修実施を続けた経験は確実に自身の血や肉となっている。それらの経験を糧に今後の人生を歩んで行きたい。
それらの経験を得る過程で協力いただいた配属先関係者、教室に通ってきてくれた受講生の皆様、自分を支えてくれた全ての皆様に感謝申し上げたい。今後のキャリア形成において重要な経験を得られたので、この2年間は自分にとって非常に有益である。


◆項目5[帰国後のボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画] 


活動期間中に民間企業(業種:開発コンサルタント)から採用内定をいただき、帰国後入社予定である。そこでの業務に尽力し、成果を挙げることが自分にできる唯一の社会還元である。まずは所属予定企業での業務遂行に最大限集中したい。
活動に関する寄稿、講演や各種OV会への参加について所属予定企業の規定、業務に支障のない程度に協力したい。 しかし、一般に馴染みのない技術を活用して行った活動内容が難解でさらに配属先の概要、実態に関する知名度が低く、広く一般の方に興味関心がある内容ではない。その為、広く一般への積極的な情報発信は控えたい。
自身以上に広く一般に受け入れられる客観的魅力にあふれ付加価値の高い経験をしてきたOVの方や同期、後輩隊員の方に情報発信の機会を積極的に譲りたい。それが質の高い効果的な経験の社会還元と最適な継承機会の創出、JICAボランティアの魅力向上への貢献になることを期待したい。
ただ、自身と同職種で今後派遣される方への情報提供、助言など、自身の経験が必要とされる場合がごく少数ある可能性が考えられる。その場合においては、惜しみなく情報を開示し、後進の育成に貢献できればと考えている。

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